前回のコラムでは令和7年の税制改正大綱のうち給与所得控除と基礎控除の拡充、特定扶養親族特別控除の創設、生命保険料控除の拡充について解説しました。
まだ読んでいないかたは下記よりご確認ください。
今回のコラムでは残りの2つ、住宅ローン控除と確定拠出年金の見直しについて触れていきます。
住宅ローン控除
住宅ローン控除に関しては特に大きな改正はありません。
引き続き子育て世代等に対する控除が拡充されており、その適用期間が1年延長になります。
改めて、子育て世代等に対する住宅ローン控除の内容を確認してみましょう。
子育て世代とは、『夫婦のいずれかが40歳未満の者、または19歳未満の扶養親族を有するもの』を言います。
控除対象の借入限度額が引き上げられています。
購入する住宅性能によって限度額が変わります。
下記の表でまとめてあるので、これから住宅購入するかたは確認してみてください。
2025年(令和7年) | ||
新築 | 認定住宅 | 4,500万円 特定対象個人 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 特定対象個人 4,500万円 | |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 特定対象個人 4,000万円 | |
一般住宅 | 0円 | |
中古 | 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・ 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 |
一般住宅 | 2,000万円 | |
控除率 | 0.7% | |
新築・買取再販 | 13年 | |
中古 | 10年 | |
所得要件 | 合計所得金額2,000万円以下 | |
床面積要件 | 合計50㎡以上 合計所得金額が1,000万円以下の場合には40㎡以上 2025年までに建築確認を受けた新築住宅に限る。 |
確定拠出年金制度の見直し
確定拠出年金制度の見直しに関しては掛け金の引き上げが検討されています。
掛け金に関しては人によって上限が変わってきます。
今回の見直しでは下記の内容になる予定です。
対象 | 拠出可能額 |
第1号被保険者 | 月額75,000円 現行68,000円 |
企業年金加入者 | 月額62,000円から確定給付企業年金ごとの掛け金相当額及び企業型DCの掛け金額を控除した額 現行20,000円 |
企業年金未加入者 (第一号被保険者と第三号被保険者を除く) | 月額62,000円 現行23,000円 |
確定拠出年金は受け取るときには雑所得の年金等控除か退職金控除で税金計算がされます。
退職所得控除は毎年のように改正が議論されています。
今回退職所得控除の調整規定も盛り込まれています。
内容としては退職手当等の支払いを受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払いを受ける場合には、当該老成一時金等について、退職所得控除の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とするとされています。
サンドウィッチマン風に言うと「ちょっと何言っているか分からない」って感じです。
これをかみ砕くと、現行だと例えば確定拠出年金を60歳で受け取って、65歳で退職金を受け取るなら2回退職所得控除を使うことができました。
これが税制改正大綱だと、確定拠出年金を60歳で受け取って、70歳で退職金を受け取るなら2回退職所得控除を使うことができるよってことになります。
要するに退職所得控除を使える年数が先延ばしになったよってことです。
正直確定拠出年金に関しては、今の若いかたからしたら受け取りは20年、30年と先の話となると税制がどうなっているかどうかわかりません。
おそらくこれからも様々な税制改正が行われるでしょう。
我々がすべきことは税制が変わった場合にはどういう方法で受け取るのが自分にとってベストになるのかの出口戦略を常に考えておくことだと思います。
またほかの制度との兼ね合い、バランスの取り方です。
2024年からNISAも拡充されているので人によっては、NISAと確定拠出年金の掛け金をどのように振り分けるのか悩まれるかたもいるでしょう。
もしお悩みのかたがいたらぜひ個別相談をご利用ください。
現在持っている資産をどのような資産バランスで持ったほうがいいのか、また年間貯蓄額をどういった制度を活用しながら振り分けていったらいいのかをお客様の状況を聞かせていただきながら一緒に考えさせていただきます。