令和5年税制大綱について ~みんなが気になるNISAはどう変わる?~

令和5年税制改正大綱
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今回の税制大綱で話題になっているのがNISAです。
ニュースやSNSで目にしたかたも多いでしょう。
今回の税制改正大綱でNISAがどのように変わるのかを詳しくみていきたいと思います。

NISAに話題をかっさらわれていて話題になっていませんが、それ以外にも相続、贈与の部分でも重要な改定があります。

こちらはまた別のコラムでまとめて書きます。

今回のNISAをフル活用するためには上の世代の資産をいかに下の世代に引き継いで、NISAを活用させるのかが重要かなと感じます。

また個人的な印象についても書いていますのでよかったら目を通してもらえると幸いです。

現在のNISA制度についてはこちらを参照ください。

目次

今回の税制改正大綱でなにが変わるの?

大きく変わるのは以下の3つです。

・NISAを1本化
・年間投資上限額の引き上げ
・枠の使いまわしが可能
・投資可能期間と非課税期間を恒久化

宮澤哲平さんによるComparison Table List Infographic Gantt Chart Graph

NISAを1本化

現状NISAは一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAの3つがあります。
ジュニアNISAに関しては、2023年末で制度が終了します。
令和5年の税制改正大綱ではNISAとつみたてNISAを1本にまとめます。
今までは一人一口座ということでNISAかつみたてNISAかを選択する必要がありました。
またNISAからつみたてNISA、つみたてNISAからNISAに口座を変更したい場合は口座変更の手続きといったことも必要でした。
NISAが1本化されることでこういった手続きの煩わしさが解消されます。

年間投資上限額の引き上げ

年間の投資上限額を株式の場合は年240万円、投資信託の場合は年120万円に引き上げます。
なお生涯で使える投資上限額は1,800万円とし、そのうちの1,200万円は成長投資枠とされています。

もし成長投資枠を使わずにつみたて枠だけを活用すると、

毎年上限の120万円をつみたてた場合、120万円×15年間で上限

毎年60万円(月5万円)をつみたてた場合、60万円×30年間で上限

毎年36万円(月3万円)をつみたてた場合、36万円×50年間で上限となります。

成長投資枠を使って個別株などを購入した場合は、1800万円-成長投資枠で使った分がつみたて枠として使えます。

成長投資枠に関しては上限が1,200万円になっています。

・枠の使いまわしが可能

たとえば投資した株や投資信託を売却した場合、使っていた限度額分は翌年以降に再利用が可能になります。

投資可能期間と非課税期間を恒久化

今までの制度では投資可能期間がNISAでは5年間、つみたてNISAでは20年間になっていました。

それが今回の税制改正大綱により投資可能期間は無期限となります。
また非課税期間も恒久化されます。

今回のNISA制度改定について

もちろん利用できる制度は最大限に利用しますが、個人的にはNISA制度を拡充させる前にやるべきことがあるのではないかと感じます。

① NISAの上限額が上がったとしても、それを使い切れるだけの所得があるのか。
② 口座開設されても一定数は活用できていない。
③ DCやiDeCoとの兼ね合い

NISAの上限額が上がったとしても、それを使い切れるだけの所得があるのか。

NISAの上限額を引き上げたとしても、その上限額を使い切れるだけの所得や資産があるのかは別問題です。
上限額を使い切れるだけの資産があるかたがどんなかたを考えてみると、子育てや住宅ローンの支払いを終えた60歳以上だと思います。
じゃあ60歳以上のかたが積極的に運用にお金をまわすかといわれたらおそらく回さないでしょう。
そしてyoutubeやSNSで投資に興味を持つかたが増えている若年層で使い切れるかたは少数でしょう。
実際わたしのところに相談にくるお客様でも令和5年の税制改正大綱で制度改正された場合、年間上限額をつかいきれるかたはほぼいません。

もちろんその年間上限額をつかいきれるポテンシャルを秘めているかたが多いですが、実際につかいきれるかどうかは別です。
上限額を使い切る必要はありませんので数字に惑わされずに自分でできる範囲で制度を活用するようにしましょう。

口座開設されても一定数は活用できていない。

使われていないということは口座を開設したけど何らかの理由で続けられなかった、もしくは口座開設したけどやり方が分からず結局そのまま放置になっているかたが一定数いることを指します。
日本証券業協会の2021年12月NISA及びジュニアNISA口座開設・利用状況調査結果をみると、NISAの口座数は1,108万0,393口座で、うち稼働口座数は484万5,732口座です。口座を活用しているかたは全体の約43.7%
つみたてNISAの口座数は338万8,819口座で、うち稼働口座数は227万7,097口座です。

口座を活用しているかたは全体の約67.17%
このデータからも口座開設しても実際に口座を活用できているかたは少ないことが分かります。
制度改定よりも稼働口座を増やすための努力も必要かなと個人的に思います。
※NISAの稼働口座数は2014年以降の投資利用枠のいずれかで買付があった一般NISA口座(稼働口座)の数、つみたてNIAの稼働口座数は2018年以降の投資利用枠で買付があった口座(稼働口座)の数を指します。

DCやiDeCoとの兼ね合い

DCやiDeCoとのバランスをどう考えて資金分散をするのかなどもFPとしては重要なポイントでどうアプローチと提案をするかが難しくなるなと感じています。

日ごろの個別相談をやるうえでは一番が一番難しいと感じています。
今までは中期的なものはNISAの活用、長期的なものはDCやiDeCoの活用と分かりやすく棲み分けができていました。
これがNISAの恒久化によって長期的なものに関してもNISA活用できるようになります。

もちろんDCやiDeCoには所得控除のメリットがありますが、将来的に退職所得控除の税制が改定された場合には、NISAでやっていたほうがよかったということになりかねないのかなといった心配もあります。
この辺りはほかのFPのかたと議論を深めて、お客様への提案方法を考えていきたいと思います。

令和5年税制改正大綱

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