令和5年税制大綱について ~NISAだけじゃない!相続税・贈与税の改定~

相続贈与
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世間の話題はNISA拡充の話題で持ちきりですが、FPの私からしたら贈与や相続の改正に関しても目が離せません。
贈与や相続は自分には関係のない話だと思っているかた、若い世代でも親が資産を持っている場合はうまく活用できるかどうかで税金面やその後のライフプラン設計でも大きな影響があります。

目次

今回の改正点

①生前贈与の加算期間が3年から7年に変更
②相続時精算課税制度の見直し
③教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の期間延長
④空き家特例の期間延長

以上の4つが令和5年税制大綱における贈与、相続に関する変更点です。

生前贈与の加算期間が3年から7年に変更

加算期間が延長されたため、相続財産が増えて相続税が増税されることになります。
緩和措置として相続開始3年以内に贈与により取得した財産以外は100万円控除ができます。
制度施行の時期は令和6年(2024年)1月1日以後の贈与により取得する財産にかかる相続税から適用されます。

宮澤哲平さんによるComparison Table List Infographic Gantt Chart Graphのコピー

たとえば2024年1月1日に生前贈与を始めたかたが2027年9月1日に亡くなった場合は、今までは加算期間が3年間だったので2024年9月1日までに生前贈与をした分を加算すればよかったのが、今回の改正により2024年1月1日に生前贈与した分も加算されることになります。結果として3年8か月まで遡って相続財産に加算されることになります。

2028年9月1日亡くなった場合は4年8か月、2029年9月1日に亡くなった場合は5年8か月、2030年9月1日に亡くなった場合は6年8か月遡ることになり、段階的に加算期間が延長されていきます。

一方で2031年9月1日に亡くなった場合は、加算期間が7年間なので2024年9月1日までに生前贈与をしたものが相続財産の加算になります。そのため2024年1月1日に生前贈与した部分は加算されません。

相続時精算課税制度の見直し

相続時精算課税制度は2,500万円までは贈与税が非課税で贈与でき、2,500万円を超える部分は税率が一律で20%になる制度です。
なお贈与した財産に関しては相続が発生したときに相続財産に加算をして相続税として申告納税をします。
相続時精算課税制度を利用した場合は、少額の贈与であっても毎年必要書類を用意して贈与税の申告をする必要がありました。
今回の相続時精算課税制度の見直しでは新たに110万円の基礎控除が設けられました。
基礎控除の範囲内であったら贈与税の申告は不要になります。
また相続時精算課税の場合は相続をするさいに相続財産の加算にもなりません。
暦年贈与でおこなった場合は相続をするさいに死亡前7年間に関しては相続財産に加算されてしまいます。
今回の相続時精算課税制度の見直しによって暦年贈与をするよりも相続時精算課税制度を選択したほうがメリットのあるかたが増えるとともに申告の煩わしさから解放され、制度の活用も積極的におこなわれるでしょう。

教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の期間延長

制度の詳細は後日コラムにまとめようと思いますので、今回は改正の概要のみ書いておきます。
教育資金の一括贈与と結婚・子育て資金の一括贈与はいずれも2023年3月31日までの特例措置でしたが今回の税制大綱によって2026年3月31日までに延長されました。

空き家特例の期間延長、内容変更

被相続人が居住していた土地・建物を利用せずに相続した人が相続発生から3年間経過する日の年末までに1億円以下で譲渡した場合は、譲渡益から3,000万円の控除ができるのが空き家特例です。
こちらも2023年12月31日までの特例措置でしたが、今回の税制大綱によって2027年12月末までに延長されました。
内容が一部改正されています。
まずは家屋取り壊し時期等の緩和です。現行では不動産譲渡をする時までに譲渡対象の家屋が一定の耐震基準を満たすもの、家屋の全部の取り壊しもしくは除却がされ、またはその全部が滅失することとありました。今回の改正により、譲渡の属する年の翌年2月15日までの間に条件を満たせばいいことになりました。
また今までは共有相続人が何人いても一人当たり3,000万円の控除が認められていましたが、改正後は共有相続人が3人以上の場合には2,000万円が控除上限になります。

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