前回は2021年の税制改正における住宅ローン控除について書いていきました。
今回は見送りになりましたが、今後改正される可能性のあるポイントについて書いていきます。
特に直近では住宅購入は検討していないけど、2~3年後くらいには購入したいなと考えている方は、今から知っておいても損はないかなって思います。
今回見送りになったのは控除率の改定です。
なぜ控除率が改定される恐れがあるのか、まずはその背景を知っておきましょう。
ひと昔前の住宅ローン金利は、3%や4%台が当たり前であり、住宅購入者の利息負担は高額でした。
住宅ローン控除の発端は、住宅を購入する人の金利負担を軽減する目的で開始されました。
低金利の現在は、控除率よりも借入金利のほうが低いため、1年間で支払った利息総額が住宅ローン控除による節税額を下回る逆ざやになってしまっていることもあります。
そこを是正するために、住宅ローン控除率を改正すべきということになっています。
現行の住宅ローン控除について
現行の住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%分を10年間控除することになっています。
残りの3年間は「年末の住宅ローン残高の1%分」もしくは「(住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限4,000万円〕×2%÷3」のいずれか少ないほうとなっています。
例えば、4,000万円、金利0.6%、35年ローンを組んだ場合は下の図の通りです。
控除の合計金額は約344万円になります。
改定予定の住宅ローン控除について
今後の改定予定としては、今までと同様で「年末の住宅ローン残高1%分を控除」もしくは「年間の支払利息分を控除」どちらか少ない方と検討されています。
そうなると先ほどと同様の条件だった場合は下の図のようになります。
控除の合計金額は約209万円になります。
控除率の改定は改悪なのか?
単純にみると改定されると控除される額が下がってしまうのでこれは改悪だと思う方もいるかもしれません。
ただ、少し考え方を変えると改悪とは言い切れないかなって思います。
例えば、
・今まで団体信用保険の特約は金利が上乗せされてしまうからつけてなかったけど、支払利息分が控除されるならあえてつける。
・変動金利で組んでも将来的に問題はなさそうだけど、あえて金利が高い固定金利を選択する。
下の図は、前記の例で仮に団体信用保険の特約をつけたとして金利が0.3%上乗せされた場合です。
控除の合計金額は約315万円になります。
住宅ローン選び方が変わるかも!
今までは可能であればなるべく低い金利で住宅ローンを組んで、住宅ローン控除を最大限生かすことがメリットになっていました。
けどもし改定された場合は、その考え方が一変して住宅ローンの選び方が変わるかもしれません。
ただ住宅ローンの選び方で大切なのは、将来のライフプランを考えたときに無理のない返済になっていないかです。
住宅ローン控除はあくまでもそれに付随する話です。
まずは将来のライフプランをしっかりシミュレーションをしたうえで、住宅購入は検討しましょう。