副業が解禁になり、これから自分のスキルを活かして開業しよう!と検討されているかたもいるでしょう。
なにも考えずに開業するとあとからやっておけばよかったということも出てきてしまいます。
そうならないためにも、開業前にやっておくべきことを整理しておきましょう。
事業計画を立てる。
はじめにやるべきことは開業しようと考えているビジネスが成り立つのかどうか、開業にどれくらいお金がかかるのか、売上がどのくらい見込めるのか、ターゲット層はどこなのかといった事業計画を考えることです。
事業計画のテンプレートはインターネットにもあるので、テンプレートを使ってビジネスの深掘りをするといいでしょう。
とはいうものの素人が事業計画を一から作り上げるのは難しいです。
私みたいに区の起業塾があれば参加してみたり、起業塾がなければ窓口に行ってみたりするといいでしょう。
東京のかたなら相談先として東京創業ステーションといった窓口も活用できます。
事業計画は開業前に作成して終わりではなく、変化する世の中に合わせて常に考えていく必要があるものです。
事業の振り返りや何か改善をしないといけないとなったときに初心にかえるツールにもなるので、作成しておくことをおすすめします。
私の場合はPCさえあれば仕事ができるため、開業にかかる費用を融資受ける必要はありませんでした。
一方で店舗を構えたり、その内装工事をしたり、設備投資が必要な事業で開業する場合は自己資本で賄うのか、融資を受けるのかを考える必要があります。
もし融資を受ける場合には金融機関なども事業計画がなければ判断材料がないため受けることもできません。
税務署に届出を提出する。
開業日が決まったら税務署に開業届と青色申告承認申請書の2つを提出しましょう。
提出するときには必ず控えを作成して、受け取るようにしてください。
たとえば事業用口座を開設するときに開業届の提出が求められる場合もあります。
後日税務署にいって控えに押印をしてもらうことはできません。
書類の提出期限は?
開業届は事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出する必要があります。
青色申告承認申請書に関しては、開業届と一緒に提出をしておくのがおすすめです。
青色申告承認申請書の提出期限は原則、その年の3月15日までに提出しなければいけません。
たとえば白色申告だったかたが青色申告を希望する場合は3月15日までに青色申告承認申請書を提出しないといけません。
その年の途中で売上があがってきたからといって青色申告承認申請書を出したとしても、青色申告のメリットを享受できるのは翌年になってしまいます。
1月16日以降に新規開業をした場合は開業から2か月以内に提出する必要があります。
それであれば忘れないうちに開業届と一緒に青色申告承認申請書を出しておいたほうが無難です。
青色申告するメリットとは?
青色申告には3つのメリットがあります。
そのメリットについてそれぞれまとめていきます。
青色申告特別控除
青色申告特別控除の金額は10万円、55万円、65万円の3つの区分があります。
55万円の控除を受けるためには複式簿記で記帳をしていること、貸借対照表と損益計算書を確定申告に添付し、控除を受ける金額を記載して、申告期限までに申告書を提出する必要があります。
65万円の控除を受けるためには55万円の控除の要件を満たしつつ、電子帳簿保存をおこなっているか、e-taxを使用して確定申告をおこなっている場合に65万円控除の適用を受けられます。
上記に当てはまらない場合は10万円控除になります。
青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族で年齢が15歳以上、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で適正な金額であれば必要経費にすることができます。
純損失の繰越しと繰戻し
事業所得で損失(赤字)がある場合は、まずはほかの所得と損益通算をします。
それでもなお赤字があるときは純損失の繰越しで翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年の所得金額から差し引きます。
純損失の繰戻しは損失が生じた年の前年に繰り戻して前年分の所得税の還付を受けられます。
開業前にかかっている経費についてまとめておく。
開業前に事業に使うものを購入している場合は開業費として経費にできます。
開業費は繰延資産として、60月(5年)以内であれば任意償却できます。
個人事業主であれば1月1日から12月31日までの売上から経費を差し引いて、青色申告であれば特別控除をした金額が所得金額になります。
所得金額から所得控除を差し引いた金額に対して税金を課税します。
開業初年度は売上も小さく、経費も大きくかかることのほうが多いため、開業費を償却しなくても所得金額は低くなり、課税されたとしても納める金額は少なくなる可能性が高いでしょう。
そのため、利益が上がってきた翌年以降に開業費を償却すると税金面で有利になります。
ちなみに開業日以後に購入したものに関しては経費での処理が必要になります。
ここでは開業する前に購入したものも開業費として経費計上ができる場合があるということを覚えておくとよいでしょう。
帳簿づけの準備をする。
事業を始めたら確定申告に向けて帳簿をつける必要があります。
特に令和4年の所得税基本通達にて帳簿がない場合は雑所得に該当すると改正されています。
会計ソフトは自分の使いやすいものを使用すればいいと思います。
帳簿づけを少しでも楽にするために、可能であれば事業専用の銀行口座やクレジットカードを用意するといいです。
事業と家計がごちゃごちゃになっていると帳簿づけも煩雑になります。
日ごろ個別相談をしていて感じるのは個人事業主のかたは事業と家計のお金の切り離しができていないという点です。
事業用のお金を生活費につかうなと言っているわけではありません。
たとえば月末に生活費として使う分を事業用口座から家計用口座に移して管理をしたほうが帳簿づけも楽ですし、お金の管理もしやすいです。
開業当初にここを整えたうえで帳簿づけができていると先々の管理も簡単になります。
あとから口座を分けるとなると、口座振替を変更する必要があったり、名義を変えないといけなかったりと手続き面でも面倒になってきます。